KERA CROSS「グッドバイ」かめありリリオホール公演 観劇記録

2020年1月11日と12日に舞台 KERA CROSS「グッドバイ」を観劇してきました。これから地方公演も続くので、ネタバレには触れないようにしつつ、この舞台の良さを語りたくて筆をとってみました。観劇済の人とおもしろさを分かち合えたらいいな〜。なんて。

KERA CROSS「グッドバイ」について

太宰治の「グッド・バイ」を原作に、ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏が脚本・演出で2015年に初演された作品が、生瀬勝久氏の演出によって再演されたのが今回のKERA CROSS「グッドバイ」。

初演では、田島周二役を仲村トオルさんが、永井キヌ子役を小池栄子さんが演じていたのを、今回は藤木直人さん、ソニンさんのおふたりで。高校教師ぶりのふたりがコンビを組むということで、楽しみに足を運びました。

KERA CROSS「グッドバイ」の公演時間について

これから観劇する方も気になると思うので、まずは今回の「グッドバイ」の公演時間について。会場に貼り出されていたタイムスケジュール(演目表)だと、第1幕が1時間45分、幕間の休憩時間が15分、第2幕が1時間5分の合計3時間5分となっていました。わたしが観劇をした初日も、2日目のソワレ公演も、ほぼこの時間通りに行われていたと思います。

個人的には、第1幕がかなりボリューミーで目まぐるしい展開に集中しすぎていたのか、最後のほうは腰痛との戦いでした…。苦笑 ストーリーは目まぐるしく展開していくので、退屈さはないのですが、後半戦が本当に「あっ」という間に終わってしまうので、その格差に初日はすこし拍子抜けしちゃったかな、と。後半のテンポ感の良さが秀逸なので、あれよあれよという間にフィナーレを迎えてしまう感があるという点にもこの体感の差はある気がするけれど。

KERA CROSS「グッドバイ」観劇の感想

初演を観ていないので、もともとのKERA作品の「グッドバイ」がどういう仕上がりになっていたのかわからぬまま、あくまで「今回のグッドバイ」を語りますが……藤木直人ファンとしては、彼にこういう喜劇を演じる機会をくれた演出の生瀬氏に大感謝!!!の気持ちでいっぱいです。笑

わたしが藤木直人さんのファンになったきっかけは「ナースのお仕事3」なので、ドタバタコメディーっぽいテイストの作品で演技ができることも知っていたけれど、ドラマの世界だとどうしても「イケメン」「エリート」なキャラが多くて。

もちろんそんな役を演じる彼も役者としては魅力的だし、きちんと成立するから楽しんで観ているけれど、彼の魅力は、真面目なようで真面目すぎなかったり、ちょっとお茶目なところや抜けたところもあったり、頭がよかったとしてもそれが鼻につかず、かっこ悪いところもある「人間っぽい」ところにあるなーと思っている派なので、今回の田島の役は、彼のもともとのキャラクターとしての魅力であるチャーミングさが存分に透けて見える役どころで、つい観ていてくすっと笑ってしまう、そんなふうに感じました。

田島自体がやってることは最低なことだし、そもそも作戦自体がトンチンカンなのにそれに「いける!」と確信を持って進めるあたりが「どうしてそうなる!?」感強いのだけど笑、そんな支離滅裂さもトンチンカンさも一瞬「まとも」っぽく見せてしまえるのは、直人さん自体の日頃の役どころが「まとも」なことが多いからだろうなとも思えるし、そんな素地を生かしながらもドラマの世界ではなかなか見せないトンチンカンさを存分に演技の中で発揮しているのが観ていてとても楽しかったです。

あと、ドラマじゃ絶対に観れないような格好をしたシーンも。笑 これはみんな観劇してからのお楽しみ!にしておきたいので、現時点で明言はしないでおくけれど、ドラマじゃきっと見る機会ないし何より生でその姿を見てしまうインパクトと目のやり場に困る感……。笑(と言いつつ、ふつうに見る←)初日に見たときはびっくりしたと同時に笑いました、その格好でそんな発言やそんな発言する!?というじわじわ感がすごい。笑

つい推しについて語りすぎてしまったけれど笑、他のキャストのみなさんもそれぞれ個性的で、それでいて舞台上でポンポン繰り広げられる言葉のキャッチボールのテンポ感が良すぎて、目が離せなかったです。

ソニンさんのキヌ子は、前半から終盤にかけての変化が手に取るように見えて、同じ舞台で時間の経過の中でここまで演じ分けられる彼女に女優としてのすごさを感じました。クセが強すぎる高知弁に最初はびっくらこいたけど、後半はそれすらもかわいらしさに映る不思議。

周りを固める年長組、真飛聖さんはさすが宝塚出身という感じで所作のひとつひとつが美しいし、歌うシーンの節回しにも惚れ惚れ。朴璐美さんはスタイルが良すぎ…。笑

若手の人たちもそれぞれ魅力たくさんで、わたしが特にお気に入りなのは長井短さん。セリフまわしのテンポ感、声の質感、テレビやラジオで見たり聞いてた頃から気になっていたけれど、想像を裏切らないすてきな役者さんだった!

能條愛未さんもインパクトある役どころだけど、演技のなかにこの個性強い共演者たちに食らいついていこうというアグレッシブさを感じられたし、田中真琴さんの一歩間違えるとただの嫌味な子になっちゃうのにそれを憎めなくさせる絶妙なキュートさを出せる演技にも感服。MIOYAEは、実年齢は全然成人女性だし装苑だったかな?VOGUEだったかな?ファッション雑誌でモードな写真を撮ってたイメージあるけど、今回の舞台上だと本当に7歳児にしか見えないあたりに恐ろしさすら感じる。笑(最上級に褒めているつもり…ファンの方、悪く思ったらすみません。苦笑)あと、杉田のぞみさん、バイオリン弾くだけじゃなくちゃんと演技もしてたのでびっくりした。マルチな方なのね…!

入野自由さんは、コニカミノルタのプラネタリウムのナレーションをされているのを聞いていたから、声の良い役者さんだと思っていたけど、今回の役どころの破天荒さにはひたすら爆笑。「体当たりの演技」とはまさにこのことな気がして、彼が他に演じている作品を観たことがないのですが、いつもこういうスタイルなのだろうか…そうじゃなかったとしたらすごすぎる。笑 2日目のソワレ観劇したときに、机に思いっきりぶつかりそうになってたので、公演期間中に怪我には気をつけてね、と心配になりました。笑 インパクトある役者陣のなかで、もはや相対的にかもしれないけれど引き算的要素として働いているように見せかけて、実はかなり変なキャラな小松和重さんのお兄ちゃんの役どころも笑いどころがたくさんあった。

そして演出を手掛けながら自身も役者として出演している生瀬勝久さんはもう…いうまでもなく。笑 わたしが2公演目に鑑賞した2日目のソワレですでにアドリブ炸裂していることが判明してしまったので、演出家自らどこまで舞台の場をかき回していくのか、日程全体の楽しみなのでは、と思っています。役者さんたちが弄ばれていくのを見るのも楽しみかもしれない。いや、演じる側は大変そうだけど…。笑

…って個々の感想を語れてしまうぐらい、キャストたくさんいるのにみんなそれぞれの個性が際立っている良き舞台でした。みんなの個性を適材適所で出せている、これも演出家生瀬さんのすごさなのかな。

若手の面々は自身の役どころ以外の役を演じている方もいて、ひとつの舞台のなかでの演じ分けを比べるのも楽しさのひとつかもしれません。それゆえに少しびっくりするシーンがあるのだけど、それは伏線じゃなくて違う役どころだったのね、よかった……と。(入野自由さんのファンならわかるんじゃないかな、これ。笑)

まとめ

2公演観て、感想を昇華しきれなくて書いてみたけど結局まとまっていないのでは…?ということに気づいたのですが苦笑、ネタバレができるようになってからもっといろいろ語りたいですね。笑

いろいろ書いてみたけど、やっぱり舞台の魅力は舞台で感じ取るのが一番だと思うので、これからの全国各所で行われる公演、観に行ける方はぜひ観に行ってほしいです。

  • 1月16日 山形市民会館
  • 1月18日 長岡市立劇場大ホール
  • 1月21日 JMSアステールプラザ大ホール(広島)
  • 1月23日〜1月26日 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
  • 1月28日 レクザムホール(香川県県民ホール)小ホール
  • 1月30日〜31日 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール(名古屋)
  • 2月2日 パルセいいざか(福島)
  • 2月4日〜16日 シアタークリエ(東京)

結構ソールドしている公演も多いのですが、わたしも財布とスケジュールと相談しながら追いチケの検討を進めていきたいなと思います(?)

初回の笑いを大事にするタイプの舞台かな?と思ったけど、複数回見ることで見えてくる伏線もあったりと、何度見てもそのときの新鮮さを楽しめる舞台だと思います。もちろん一回でも満足感たっぷり!この舞台にある「笑い」は、日常の悶々とした気持ちを馬鹿馬鹿しくさせてくれるというか、舞台を観ているあいだ考えず心をふっとさせてくれるというか、そんな良さもあると思います。

「笑う角には福来る」

2020年初笑いをこの舞台に捧げられたら、楽しい1年になる気がする!そんな舞台です。たくさんの人がこの舞台で笑いを得られますように〜!